幸福のスイッチ
    2007年 01月 17日
【KBCシネマ】
和歌山県田辺市で電器店を営む父。儲けにならない仕事ばかり引き受けて、家族に苦労をかける頑固オヤジの誠一郎に反発した玲は、東京へと出てきていた。イラストレーターとしてデザイン会社に入社したものの、現実は厳しく、思うような仕事は任されない。上司からのダメ出しにキレて会社を飛び出してしまった矢先、田舎から姉が入院したとの知らせが入る。急いで帰省する怜だったが、実は入院したのは誠一郎だった。姉からの生活費カンパの条件につられ、父の入院中、電器店の仕事を手伝う羽目になったのだが..

先日観た『酒井家のしあわせ』で、「こういうホームドラマは食傷気味」と書いたばかりだが、またそんなホームドラマを観てしまった。類型的なお話ながら、破綻もなく、退屈せずに済んだという程度には面白かった..という感想も前と同じ。ちなみに、どちらの作品も若手の女性監督の手によるものだ。

しっかり者の姉を演じる本上まなみ、ちょっとジコチューな次女役にして主役である上野樹里はそれぞれハマリ役だが、オーディションで選ばれた演技初心者だという中村静香が、天真爛漫で要領が良い三女役を自然に伸び伸びと演じていて、一番光っていたと思う。

映画で描かれているように、大手メーカー系列の電器店は大型量販店に押されて、どこも経営難に陥っているのだが、ちょうど手元にある文庫本『ガイヤの夜明け 終わりなき挑戦』には、そんな「町の電器店」が毎年売り上げを伸ばしている実例が紹介されている。その売り上げアップの秘策というのが、映画の「イナデン」と同じく、こまめに周辺の民家へ御用聞きに廻り、ちょっとした修理や点検を無償で行ったり、使用方法の説明などにも快く応じることだという。高齢化が進行しつつある現在、このようなアフターサービスのニーズがますます増大していくという読みである。
映画では時代遅れと思われた沢田研二の経営方針も、実は理にかなっていたわけだ。

幸福のスイッチ@映画生活
「幸福(しあわせ)のスイッチ」の映画詳細、映画館情報はこちら >>

b0004063_2328786.jpg

# by coolkoro | 2007-01-17 23:03 | 劇場鑑賞
武士の一分(いちぶん)
    2007年 01月 17日
【ユナイテッドシネマ キャナルシティ13】
三村新之丞は近習組に勤める下級武士。藩主の毒見役という不本意な役目に嫌気がさしながらも、美しい妻・加世と中間の徳平と平和な毎日を送っていた。ある日、毒見の後、新之丞は激しい腹痛に襲われる。あやうく一命はとりとめたが、意識を取り戻した時は視力を失っていた。人の世話なしで生きられなくなった身を絶望し、一度は命を絶とうとしたが、泣きすがる加世のために思い留まった。再び平穏な日々が帰ってきたと思われたが、それもつかの間。新之丞は加世が外で男と密会しているという噂を聞く..

チャンバラや合戦シーンに興味を持てない私は、これまで時代劇は敬遠しがちだった。そんな私だが、美しい夫婦愛を謳いあげたこの作品は素直に心に染みた。

ここで描かれる夫婦の関係は(時代が時代なので当然ながら)男尊女卑的ではある。それでも主人公がどれほど妻を愛しているか、二人の平穏な生活がどれほど幸福なものか、ひしひしと伝わってくる。
また彼らの住まいも小さく粗末なものだが、隅々まで手入れが行き届き、清掃されており、伝統的な日本の美が感じられる。
翻って、ずっと立派な住居に住み、皆平等な人間関係が構築されている私たちの生活はどうだろう?映画の時代より本当に豊かだといえるのか?そんな事を問いかけられている気がした。

武士の一分@映画生活
「武士の一分(いちぶん)」の映画詳細、映画館情報はこちら >>

b0004063_22554081.jpg

# by coolkoro | 2007-01-17 22:37 | 劇場鑑賞
リトル・ミス・サンシャイン "Little Miss Sunshine"
    2007年 01月 06日
【シネリーブル博多駅】
アリゾナ州に住むオリーヴはとうてい無謀?なミスコン優勝を夢見る9歳のメガネ少女。彼女の家族は皆それぞれ問題を抱えて崩壊寸前だった。パパのリチャードは独自の成功論を声高に振りかざすが、自分自身は甲斐性ゼロ。家族を嫌って沈黙を続ける長男ドウェーン。ヘロイン常習の祖父は強烈な毒舌家。さらにはそこへゲイで自殺未遂の伯父フランクまで加わる始末。唯一の常識人であるママ、シェリルの孤軍奮闘も虚しく家族はまさにバラバラ状態。
そんなお騒がせ一家のもとに朗報が舞い込む。オリーヴがカリフォルニアで行われる「リトル・ミス・サンシャイン」コンテストへ繰り上げ参加できることが決定したのだ。問題だらけの彼らだが、こうして家族6人ミニバスに乗り込み、一路コンテスト会場を目指ことになった..

ダメ人間たちを暖かな視点で捉えた映画といえば、トッド・ソロンズの一連の作品をはじめ少なくないが、中でもこの映画の印象が爽快なのは、登場人物たちがウジウジと悩むのではなく、非常に行動的だからだろう。
出版の約束を反故にされそうになった親父は、約束の履行を迫るべく?見知らぬ若者に借りたミニバイクでハイウェイをぶっ飛ばすし(実際はテクテク走っているのだが)、最初「こりゃ一番の厄介者だな」と思われた自殺未遂の叔父(実は意外や常識人)が、受付時間に間に合わせるため、「リトル・ミス・サンシャイン」コンテストの会場目指して全力で疾走するシーンには思わず拍手喝采したくなった。

ラストのダンスシーンはちと演出過剰の気もするが(BGMが今では最もダサい音楽=MCハマーなのは笑える)、幼女に厚化粧させるミスコンを「悪趣味なもの」として否定的に描いている点は大いに賛同する。例のジョン・ベネのビデオを最初見たとき驚愕したが、あれがアメリカでは特殊な世界でないことがこの映画で解った。確かに、「幼女ミスコン」の周辺にいる大人たちに比べれば、この映画の主人公であるダメ人間たちの方がずっとマトモだし、魅力的でもある。

「リトル・ミス・サンシャイン」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
リトル・ミス・サンシャイン@映画生活
b0004063_15282530.jpg

# by coolkoro | 2007-01-06 23:01 | 劇場鑑賞
酒井家のしあわせ
    2007年 01月 06日
【シネサロン・パヴェリア】
三重県の田舎町に住む酒井家は、父・正和、母・照美、兄・次雄、妹・光という家族構成。一見ごく普通の家庭だが、実は照美は再婚で、次雄は前夫の連れ子。次雄と光は父親違いの兄妹というちょっと複雑な関係だ。中2の次雄はそういう家族関係をちょっとウザク感じ始めていたりする。ところがそんなある日、正和が突然家を出て行くと言い出す。なんと、その理由とは..

29歳の初監督作品とは思えない上出来のホームドラマ..なんだが、どこにでもある家族の日常を淡々と描き、途中でちょっとした波乱あり..こういう邦画って最近多くないか? もともと、こういう映画嫌いじゃないんだが、それでも少々食傷気味なのは否めない。
この映画で出色だと思うのは、思春期のカッコ悪さというか、気恥ずかしい雰囲気がよく描けている点。ラストで、次雄が上着のジッパーを引き上げて顔を半分隠しながら見せる表情など絶妙だ。演じる森田直幸は見た目が小生意気そうだが、だんだん好感が持てるようになる。相手役の谷村美月は例の「海賊版撲滅キャンペーン」CMでミソをつけたが(個人的にそう思っている)、この映画見るとやっぱり光るものがあるね。

「酒井家のしあわせ」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
酒井家のしあわせ@映画生活
b0004063_14592887.jpg

# by coolkoro | 2007-01-06 21:47 | 劇場鑑賞
それでもボクはやってない
    2006年 12月 20日
【明治安田生命ホール】 ※試写会
『Shall We ダンス?』の周防正行監督が、11年ぶりにメガホンを取った本格的な社会派ドラマ。ある青年が通勤電車の車内で痴漢と間違われ、その後1年にもわたる裁判で自分の無実を訴える姿を通して、日本の裁判制度の問題点を浮き彫りにしていく映画だ。

想像した以上に、周防監督の日本の裁判制度に対する憤りが前面に出た作品、というのが第一印象。これまでの『Shall We ダンス?』や『シコふんじゃった』とはかなり趣を異にしている。しかしこの作品でも、私たちが知っているようで実は知らない裁判制度のディテールが手際よく描写されており、この点は学生相撲や社交ダンスなど、やはり一般に知られていない世界を活写してみせた過去の代表作と通じる部分だ。

もちろんシリアス一辺倒ではなく、笑えるシーンも随所に配置されている。また孤立無援だった主人公が支援者たちの支えによって徐々に希望を取り戻していく展開は、この後『Shall We ダンス?』のようなハートウォーミングな結末に向かっていくんだろうな、と思わせる..

予告編で「おかしい日本の裁判」、「不思議な制度」といった文言を聞いたとき、正直ピンとこなかった。日本の裁判制度って比較的まともに機能しているものだというイメージを何となく持っていたからだ。(たぶん大多数の人は同じだろう) この映画を観て、そんなイメージはガラガラと崩壊してしまった。この国の司法、裁判のシステムとはこんなにも歪んだものだったのか。これで法治国家といえるのか?とにかく現行の国民審査など形式的なものではなく、裁判官をきちんと監視、評価できるシステムが必要だと思う。

「それでもボクはやってない」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
それでもボクはやってない@映画生活

b0004063_1415432.jpg

# by coolkoro | 2006-12-20 23:35 | 劇場鑑賞
プラダを着た悪魔 "The Devil Wears Prada"
    2006年 12月 14日
【Tジョイ久留米】
ジャーナリストを目指してニューヨークへとやって来たアンディが就いた職業は、NYの一流ファッション誌の編集長アシスタント。ファッションなど興味ゼロのアンディだったが、一流ジャーナリストへのステップになればという程度の考えで応募したのだ。しかし彼女のボスである編集長ミランダは、超カリスマ的な存在として誰もが恐れおののく、まさに「プラダを着た悪魔」だった。朝も夜もなく四六時中浴びせられるミランダの理不尽な命令に、たちまちアンディは挫けそうになってしまう..

もともとこういうコメディタッチのサクセスストーリー(ハリウッド映画の十八番)には食指が動かないんだが、この映画はリース・ウィザースプーンの一連の作品ほど能天気ではなく、結構シビアな部分もあってなかなか楽しめた。
やはりメリル・ストリープの悪魔ぶりが一番の見どころか。この手の映画ではありがちだが、途中で「実は良い人でした」などとはならず(そうなりそうな展開はある)、最後まで「悪魔」で貫徹しているところがいい。

しかし、このヒロインのように勤務時間外まであたり前のように業務命令(しかも公私混同)を言い渡されるなんてことが欧米でもあるんだね。これは驚きだった。この映画の原作者は、自身がヴォーグ誌に勤務した経験を基に執筆したそうだから、たぶん現実にあるんだろう。

あと、U2の曲(先日の日本公演で最初に演奏された"City of Blinding Lights")がまさかファッションショーの場面で使われるとは!かっての彼らの硬派なイメージを知る者としてはフクザツ..

「プラダを着た悪魔」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
プラダを着た悪魔@映画生活

b0004063_2371216.jpg

# by coolkoro | 2006-12-14 22:42 | 劇場鑑賞
硫黄島からの手紙 "Letters from Iwo Jima"
    2006年 12月 09日
【ユナイテッドシネマ福岡】
戦況が悪化の一途をたどる1944年6月、硫黄島に新たな指揮官、陸軍中将 栗林が降り立った。アメリカ留学の経験を持つ栗林は、着任早々、無意味な精神論が幅を利かせていた軍内部を合理的に改めようとする。そんな栗林の登場に、硫黄島での過酷な日々に疲弊しきっていた兵士たちは微かな希望を見出すのだった。一方、アメリカの国力を熟知し、米軍との戦いの厳しさを誰よりも覚悟していた栗林は、本土防衛の最期の砦である硫黄島を死守すべく、島中にトンネルを張り巡らせ、地下要塞を築き上げるのだが..

感想といっても、いったい何と言えばいいのか言葉に詰まりそうになる。とにかく「面白かった」とか「感動した」、「考えさせられた」といった月並みな言葉では括れない、心にズッシリと重さが残る映画だった。

決して練りに練ったという作品だとは思わない。特に緻密な構成が見事だった『父親たちの星条旗』と比較すると、シンプルさが際立ってみえる。しかしそのシンプルさ故に、観客(特に私たち日本人)の感情にストレートに訴えかける作品になっているのは確かだ。時間的にもコスト的にも制約が多い中での撮影だったのだろうが、それでもイーストウッドの真摯な姿勢や作品に対する情熱は充分に伝わってくる。私は映画に描かれた「私たちの先人が体験した事実」を目の当りにして、ただ打ちのめされるしかなかった。

「硫黄島からの手紙」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
硫黄島からの手紙@映画生活


b0004063_22333131.jpg

# by coolkoro | 2006-12-09 21:44 | 劇場鑑賞
U2来日公演から帰還②
    2006年 12月 01日
私のチケットの整理番号は2000番台後半だったので、開場時には並ばなかった。開演前から長時間立ったまま待つのも嫌だったし。ところが後の情報だと、開場時に入場していれば、ほぼ皆、例の「花道」の環の中に入れていたらしい。おまけに整理番号はロクにチェックされなかったとのこと。うわ~!わざわざ福岡から遠征してきたというのに、もう少々の苦労を惜しむんじゃなかったな。

結局、入場したのは開演30分ぐらい前。その時点で、「花道」(視認できないが)に沿って半円状に集団ができていたが、まだだいぶスペースは空いている。最初から人混みは避けて、マッタリと観るつもりなのか、エリア最後部で座り込んでいる人たちも目立った。とりあえず、なるべく前方に小柄な人が多い場所を探して陣取ることにする。

開演時間が迫ると、BGMが1曲終わるごとに歓声が起きる。皆ライヴDVDで予習しているのだろう、BGMがArcade Fireの"Wake Up"に変わるとひときわ高い大歓声。そしてこの曲が次第にフェイドアウトしていくと、エッジのギターが高らかに鳴り響き始める。やはりというか、ここで多くの客が前へ前へと押し寄せ出し、小柄な人が多いエリアを選んで位置取りしていたはずなのに、気がつくと目の前には長身の男性が並んでしまった。しまった!と焦っていると、突然、横の方からもの凄い歓声が。なんと、いつの間にかボノが日本国旗を持って登場。10mも離れていない花道を歩んでいるではないか!至近距離から見たボノは、やっぱりロビン・ウイリアムスそっくりだった(笑)

この日のU2は絶好調。最近のライヴDVDではボノのボーカルが苦しそうな場面が散見されたけど、そんな様子は微塵もなく、圧倒的なパフォーマンスをみせてくれた。後のTV出演で、ボノ自身が"Best show of my life"と語っていたが、それも納得。
加えて観客の盛り上がりも相当なもので、曲のサビの部分では必ずと言っていいほど大合唱が起こった。このレスポンスの素晴らしさには、ここは本当に日本か?まるで海外じゃないか、と思ったほど。日本では不人気といわれるU2だが、この日は「自分以外にもこんなに熱いU2ファンが大勢いるんだな」と確認できて、会場にいた皆は感動したんじゃないだろうか。

セットリストで嬉しかったのは"Walk On"を演ってくれたこと。できればフルバンドで聴きたかったところだけど、このアコースティック・バージョンも悪くない。逆に残念なのは"New Years Day"が無かったこと。今回、本当に一番聴きたかったのは"Original Of The Spicies"だったんだけど、オセアニアからのツアー再開後は全く演奏されてないので、はじめから諦めていた。この日のサプライズは、リリースされたばかりのベストアルバムに収録されている新曲"Window In The Skies"がツアー初演奏されたこと。それとラストが"One Tree Hill"だったことか。この曲大好きなんだけど、最終曲としては(直前のオセアニア公演では定番だった)"Kite"の方が良かったかなあ。やっぱり"I know that this in not goodbye"の言葉で幕を下ろして欲しかった。

あと笑ってしまったのが、会場出口近くに置かれていたテレビ朝日からの祝い花。「U2様へ」だって..海外アーティストには似つかわしくないと思うんだが。この花の前で記念撮影する人も結構いた。

b0004063_223959.jpg

b0004063_22392914.jpg

# by coolkoro | 2006-12-01 23:30 | 音楽
U2来日公演から帰還
    2006年 11月 30日
ただいまU2来日公演の初日から帰還。さすがに「さいたま新都心」は遠かった..
ライブは最高だったが(※詳しくは後で別に書きます)、とにかく疲れた。仕事溜まってるだろうなあ、と思うとさらに..

疲れたのはアリーナがオールスタンディングだったからだけじゃない。ツアーグッズ買うだけで30分並んだうえ、入退場でも大混雑。これまで東京ドーム、福岡ドーム、大阪城ホール、マリンメッセ福岡など..いろんな場所で数万人規模のコンサートは経験ずみだが、とにかくこれだけ入退場に時間がかかったことはない。会場(さいたまスーパーアリーナ)の構造上の問題もあるのかもしれないが、もう少しどうにかならないものか。もし雨が降ったら、さらに悲惨なことになると思うが。

b0004063_2304258.jpg
b0004063_2311797.jpg

# by coolkoro | 2006-11-30 18:55 | 音楽
マーダーボール "Murderball"
    2006年 11月 25日
【KBCシネマ】
分厚い装甲にカスタマイズされた車いすで相手に激突し、そしてなぎ倒す..そのあまりに激しい戦いぶりから、「マーダーボール」の異名を持つウィルチェア(車いす)・ラグビー。この映画は、因縁のライバルであるアメリカとカナダの代表チームを中心に、それぞれの障害を克服し、ウィルチェア・ラグビーに情熱を燃やす選手たちの友情と確執を映し出したドキュメンタリーである。

アメリカで「ラグビー」が盛んだとは非常に意外だったのだが、映画で実際のゲームを見ると、このウィルチェア・ラグビー、スロー・フォワードもOKだし、ラグビーというよりアメフトやアイスホッケーに近い感じだ。それはともかく、まるで戦車のように改造した車いすを駆使した肉弾戦の迫力はハンパじゃない。あの車いすだと激突の度に、ちょっとした交通事故ぐらいのダメージを受けるんじゃないだろうか。そう思えるほど凄まじい。
そんな超危険なスポーツを四肢マヒの障害者がやるなんて、日本ではちょっと想像できないが、何と日本代表チームもちゃんと存在していて、映画にも一瞬だが登場する。

この映画のユニークな点は、障害者スポーツのイメージを根底から覆すド迫力の競技シーンもさることながら、障害者たちを健常者と同じ「等身大の人間」として捉えているところだ。当然ながら、障害者の中にも善人もいれば悪人もいるはずで、それは健常者と変わらない。この映画の主人公格であるアメリカ代表チームのマーク・ズパンは、ただでさえコワモテのうえ、手足にはタトゥーを入れており、意図的に相手を威嚇する風貌をしている。なにも恐いのは外見だけでなく、友人から「あいつは障害者になる前からワルだった」と証言される始末だ。

映画の中のプレイヤーたちからは、自分が障害者だという負い目など微塵も感じられないので、彼らは肉体だけでなく、精神力の方も特別に強靭なのだと思えてしまうが、そうではなかった。あのズパンでさえ「障害者になってからの2年間はキツかった」と告白する。映画にはプレイヤーではなく、障害を負って間もない少年も登場する。当然、まだ障害者としての状況に順応できていない。そんな彼がズパンの車イスに乗せてもらって、目を輝かせるシーンは感動的だった。「障害者だからって自分で限界を作っちゃダメだ」とはズパンの言葉だが、この瞬間、少年は自分が作っていた限界を乗り越えられる確信を持ったのだろう。その後、彼はウィルチェア・ラグビー用の車いすを購入するために、貯金を始めたという。

マーダーボール@映画生活
「マーダーボール」の映画詳細、映画館情報はこちら >>

b0004063_13353239.jpg

# by coolkoro | 2006-11-25 22:16 | 劇場鑑賞