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パッチギ! LOVE&PEACE
    2007年 05月 21日
【Tジョイ久留米】

観るべきかどうか、ちょっと躊躇した映画だった。
前作『パッチギ!』にも「在日朝鮮人」の問題が背景として登場するが、基本的には日本人高校生の視点から描かれた青春映画だった、というのが私の理解。しかし続編の主役は在日朝鮮人の家族に置き換えられているらしい。そうなると気になるのが、日ごろの井筒監督の(拉致問題を「日本側の捏造」と言い切るほどの)朝鮮問題に関する偏向した言動の数々..もしかして、観ていて唖然とする反日映画に仕上がっているのではないか?

実際に観てみた。巷の評判は決してよろしくないようだが、私はそう悪くない作品だと思う。実は映画の前に邦画ばかり5~6本の予告編が上映された。これが、どれもこれも観るに耐えない作品ばかり。予告編だけで「酷い」と断ずるのが邪道なのは承知だが、とても作り手が惚れ込んだ企画とは思えないし、世に伝えたいメッセージが込められているとも思えない代物だ。たぶん「今時の客にはこんなのが受けるんだろう」程度のアイデアで作っているんじゃないか。これらと比べれば、良くも悪くも作り手の主義主張がはっきりと伝わってくる今作の方が好ましい、と私は感じるのだ。

もちろん納得できない点も多々ある。
その最たるものは、日本軍による朝鮮人強制連行の場面が「事実」として映像化されていること。映像の力とは恐ろしいもので、「在日は強制連行された朝鮮人の末裔」などとは信じていない私にさえ、このシーンは説得力を感じさせるものがあった。
ストーリーにも無理がある。例えば、新進女優となったヒロイン(中村ゆり)の舞台挨拶シーンでの行動がそうだ。それほどまで感情的に受け入れ難い映画であったのなら、なぜ彼女は嬉々としてオーディションを受けに行ったのか。そして「あんな手段」を弄してまで役を手に入れたのか? 
クライマックスでの(お約束?の)大乱闘シーンも余計だった。好評だった前作とはあまりに毛色が変わってしまったことを危惧して、帳尻あわせに挿入したとしか思えないのだが。

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檸檬のころ
    2007年 05月 14日
【KBCシネマ】

ポスターでは5人のメインキャストが並んで写っているが、本編で彼らが一堂に会することはない。基本的には2組のカップル+1名のそれぞれのエピソードが平行して描かれるスタイルの映画。個々のエピソードが点描という感じで、一つのな物語へ収斂していかないのが残念だった。
その「+1名」の石田法嗣を思わせぶりに登場させておいて、途中からバッタリと出番が無くなったのは何なんだろう。『カナリア』以来の谷村美月との共演に期待していたんだけどな。

いちばん合点がいかなかったのが、演技経験が浅い榮倉奈々絡みの、しかも一番ありきたりで退屈なエピソードをメインストーリーに据えていることだ。音楽ライター志望の孤高な女子高生を演じる谷村美月のエピソードを中心にした方がよっぽどユニークな作品になったと思うが、それだと作者が意図した「普遍的な青春像」とイメージがズレてしまうという判断だったのだろうか。印象に残るシーンも多々ありながら、全体としては「古臭い青春映画」という感じが拭えない。

しかし最近の青春映画は北関東を舞台にしたものが多い。やはり東京に近い田舎というのが好都合なんだろうか。
あと最近は受験の合否が電話の自動音声応答サービスで確認できるとは..これにはちょっと驚いた。

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ラブソングができるまで "Music and Lyrics"
    2007年 05月 05日
【Tジョイ久留米】

GWとはいえ、劇場は想像を絶する鬼混みぶり。なにしろチケットを求める人の行列がシネコンの広いロビーを遥かに超えて、階段をも経て、なんと雨天の外にまで繋がっていたほどだ。

劇場全体ではこんなに賑わっているのに比べ、この映画の客の入りはあまりに寂しかった。はたして全員で10人いたかどうか..しかし映画は楽しかったぞ。同じくドリュー・バリモアがヒロインだし、80年代ポップスがモチーフに使われているラブコメということで、私は『ウェディング・シンガー』を思い出した。

映画の中で流されるヒュー・グラント演じる元ポップスターのビデオクリップが、昔よく見かけた能天気でチープなドラマ仕立てのミュージックビデオを実にそれらしく再現していて笑える。ふだんシニカルな印象のヒュー・グラントがこれを演っているのがよけい可笑しい。

この凝ったビデオクリップだけでなく、忘れられたスターの末路も含めて、アメリカのミュージックシーンの裏側を綿密に描いているのが、この映画のユニークなところ。ただし、ブリトニーを彷彿とさせる現代のポップアイドルの女王様ぶりをはじめ、現実をかなりデフォルメして描いているのは間違いない。これはコメディ映画なんだから当然か。

主演がラブコメの常連、ヒュー・グラントとドリュー・バリモアと聞いたときは、正直、賞味期限切れの企画じゃないか?と思ったが、この映画は音楽というモチーフを活かしたことと、主演2人の個性をうまく反映させた脚本によって、なかなか新鮮味のあるラブストーリーに仕上がっていると思う。劇中、2人が共作する曲もラブソングの王道という感じでなかなか良い。この曲は来年のオスカーの有力候補かも。

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