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ユナイテッド93 "United 93"
    2006年 08月 31日
【Tジョイ久留米】
あの9.11同時多発テロの一つ、ユナイテッド航空93便の事件はこれまで幾度となくTVで取り上げられてきたし、つい最近もディスカバリー・チャンネルで綿密に作られたドキュメンタリーを見たばかり。映画を観る前から事件の概要は頭に入っていた。

そんな私にとって、映画のウリである極限状態に置かれた機内の乗客のドラマは、(確かによくできているが)すでに語りつくされており、正直なところ新鮮味は感じられなかった。より印象に残ったのは、事件に対処する側である航空管制官や軍関係者の姿の方だ。
最初にハイジャック発生の一報が入った時は、「ハイジャック?ずいぶん久しぶりだな」と何とも呑気な反応だったのが、しだいに事件の全貌が露になるにしたがって、急激に緊張感が高まり、ついにはパニックへ陥っていく過程が非常にリアルに、かつわかりやすく描かれている。特にCNNの映像が管制室のスクリーンに映し出された瞬間、その場の全員が凍りつく場面は忘れがたい。しかし危機管理のプロたちでさえ、テレビの情報にこうも依存しているとは驚いた。(映画の中で、「CNNによれば..」という台詞は何度も出てくる)

さらに驚きなのは、こうした当事者の役の多くを(実在の)本人自身が演じていることだ。エンドクレジットで"AS HIMSELF"の文字がズラリと並ぶ様は、ある意味壮観だった。日本では、ちょっと考えられないだろう。
中でも一番目立っていたのは、被害拡大を防止するため、全米の空域を封鎖し、飛行中の航空機はすべて即座に着陸させた(凄い決断力!)連邦航空局のベン・スライニーだが、彼の芝居はあまりに堂に入っており、とても素人には見えない。いろんな意味で凄い人だ。

ユナイテッド93@映画生活

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日帰りで湯布院映画祭へ
    2006年 08月 24日
b0004063_22251572.jpg当直明けの休みを利用して湯布院映画祭に行ってきました。今回は都合で週末参加できないので、新作を1本観てお終い。
日帰りとはいえ、せっかくの湯布院なんで、映画の前に「やわらぎの郷」という旅館で食事して、温泉にもつかってきました。食したのは豊後牛のステーキランチ。2500円というファミレス並みの価格ながら、大皿いっぱいに盛られた牛肉に感激。おまけに食事客は入浴料が半額になるそうで、これにも得した気分。

映画祭で観たのは大森一樹監督のサスペンス映画、『悲しき天使』。
私個人は大森監督の旧作にあまり良い印象持ってないし、サスペンスというジャンルもあまり好みではないんだけど、しかし予想外にこの作品は面白かった。上映後のシンポジウムでも、好意的な観客が多数を占めていました。

実はこの作品、松本清張「張り込み」の映画化だそうです。ただし、刑事役を女性(高岡早紀)に設定変更したり、かなり内容をアレンジしているらしく(ちなみに私は原作は未読)、そのせいで「張り込み」のタイトルは使えなかったらしい。

またこの映画、大分ロケを大々的に行っていて、湯布院では「ご当地映画」ということになります。主な舞台となる温泉街の風情もさることながら、サッカースタジアム(大分ビッグアイ)でのクライマックスシーンは臨場感たっぷりでなかなかの迫力。また全編に流れるフルオーケストラの音楽も劇的効果が抜群で、映画を盛り上げていました。

実を言うと、もともと私がこの作品に期待していたのは、キャストの高岡早紀と筒井道隆。そう、あの『バタアシ金魚』の再現なのです。ただ今回、筒井道隆が演じるのは、ある殺人犯を追う女刑事(高岡)の監視対象となる男の役なので、当然のこと、この2人、同じシーンに登場はしても、なかなか接触しないのです。かなり、やきもきさせられます。
同じ思いの人は他にも少なくないようで、シンポジウムに出席した高岡さんに、今回の再共演の感想を尋ねた人がいたんですが、その答えは「筒井さんとは『バタアシ金魚』以来、チラッとも会ってなかったんですが..またご一緒できて..まあ~普通に嬉しかったですね..」
どうも、特に感慨深いということもなかったようで..ファンの想いはともかく、当人たちにとってはそんなものなんでしょうね。

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トランスアメリカ "Transamerica"
    2006年 08月 19日
【KBCシネマ】
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ちょっとキワモノっぽい題材ながら、爽やかな感動が後に残るのは「ヒロイン役」フェリシティ・ハフマンの演技に負うところ大でしょう。トランスセクシュアルという難役を、繊細な感情表現(特にぎこちなさが絶妙!)でリアリティたっぷりに演じきったのは見事としか言いようがありません。
正直、パッと見はかなり気色悪いものがあり、最初は引いて見ていたんですが、「彼女」の(外見からは意外な)勇気や品性にだんだんと魅了されていきました。旅を通して息子が彼女に抱く感情の変化にも納得です。
この点、ロードムービーとしては定石どおりに手堅く描いた映画だと言えるかもしれません。

旅の途中で出会う親切なカウボーイも印象的でした。「誰にでも人に言えない秘密の一つぐらいあるさ」 ありふれた台詞ではありますが、懐が深い彼からこう言われると、なんとも含蓄ある言葉に感じられます。ただ、もっと話に絡んでくるもんだと思ってたら、あっさり退場。出番が少なかったのは残念でした。

エンディングにかかるドリー・パートンの歌も良かった。映画がポジティブな余韻を残して終わるのに、この歌はかなり貢献していると思います。

トランスアメリカ@映画生活
幸せのポートレート "The Family Stone"
    2006年 08月 14日
【KBCシネマ】
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なかなかよくできたホームドラマ。
全編コミカルでありながら、ハッとするようなシリアスな場面を随所に配置する、という作りに目新しさはありませんが、キャストが芸達者揃いということもあり、それなりに感動させられます。

サラ・ジェシカ・パーカー演じるヒロインは、やたら神経質でプライドの高さは人一倍。かなりイヤな女として登場します。そんな彼女も婚約者の家族に気に入られようと、彼女なりに努力して言動に気を配るのだけれど、それがことごとく裏目に出てしまう。ここのくだりは、人付き合いが不器用だと自覚している人(程度の差はあれ、自分も含めてそういう人は多いだろう)には痛いシーンとして、特に印象に残ります。
ただ、決定的に壊れてしまったかと思われたサラと婚約者一家の人間関係が、「あの程度のこと」で簡単に修復されるのは説得力なかったな。個人的にドラマのハイライトだと思っていた部分なので、この点は非常に残念。

もう一つ不満を言えば、サラの妹役クレア・デインズの存在が余計だったこと。映画の中盤からの登場で、「ちょっとした脇役だな」と思っていると、最後にはサラとどちらがヒロインなのか解らなくなるほどウェイトが大きくなっていきます。これは作品のバランスを壊している気がするし、作劇としても不自然だと思う。あれでは、サラの婚約者にしてもずいぶん酷い奴ということになってしまうし..

あと最初の方で、一家の末弟が「アリガトウ」と日本語で返事するシーンがあったんだけども、あれはどういう設定だったのかな?ちょっと気になります。

幸せのポートレート@映画生活
ゆれる
    2006年 08月 07日
【シネリーブル博多駅】
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対照的な兄弟(前作では兄妹だったが)の関係性を鋭く描き出してみせたという意味で、この監督の前作『蛇イチゴ』と通じる部分が多々ある作品です。しかし一貫してコミカルだった前作とは違い、今回は2人の内面の暗部を「これでもか」とばかり容赦なく抉り出していて、正直ちょっとキツい部分もありました。それにしても、微妙な心のゆれを僅かな表情の変化や動作で表現してみせた、香川照之とオダギリ・ジョーの演技は特筆ものです。
演出面では、映画のあちこちに印象的なショットがさりげなく挿入されている点も非凡だと感じました。兄のズボンに滴り落ちるビール、ドロリとした種が溢れ出したトマトの断面、料理に出された魚の目玉..(オダギリ演じる弟はこの目玉に何を見たのだろう?)

たまたま前日見ていたTV番組「行列のできる法律相談所」で、映画上映中に携帯電話の着信音で鑑賞を妨げられた場合、加害者?に1人あたり500円程度の賠償請求が可能だという(弁護士の)見解を聞いたんですが、実はこの映画の上映中にもあったんです。それも緊迫した法廷シーンで。「城島です。頑張っていこ~、城島です..」 念のため説明すると、この「城島」とは元ホークスで現在シアトル在住の某野球選手のこと。もう雰囲気ぶち壊しもいいとこ。500円といわず、入場料全額を請求したくなったぞ!(怒)

ゆれる@映画生活