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日本沈没 (プレミア試写会)
    2006年 05月 29日
【電気ホール】
b0004063_14202644.jpg上映に先立って、武道館での舞台挨拶の模様が同時中継されたんですが、キャスト陣から陳腐極まりないコメントが続出して(特に「沈没ベイベー!」には殺意さえ感じた) 、上映前から作品への期待感はすっかり萎んでしまいました。

で、ここからが作品の話。
まあ、原作や旧映画化版とはまるで別物といっていいでしょう。
原作からは、ごく基本的な設定と登場人物の名称だけ借用したといった感じ。
この点を割り切って観れば、結構楽しめる作品に仕上がっていると思います。
少なくとも私には、同じ監督の前作『ローレライ』よりはずっと面白かった。
VSXはかなり頑張っていて、「日本映画の技術もここまで到達したか!」と思わずにはいられないだけの迫力がありますしね。

今回の映画は「いのちより大切な人がいる」というコピーに象徴されるように、ラブロマンス色を前面に押し出していて、旧作のような重厚さを期待するとガッカリさせられること請け合いなんですが、一方で旧作に出てきた印象的な台詞のいくつかを巧みに流用するなど、さりげなく旧作ファンへの目配りも忘れていません。また旧作のキャストでは丹波哲郎氏が唯一カメオ出演を果たしていますが、どんな登場の仕方をするのかは観てのお楽しみ。(ちょっと笑ってしまうかも)

※写真は会場で配布された毎日新聞の「広告号外」
雪に願うこと
    2006年 05月 29日
【シネテリエ天神】
類型的なドラマで新味が感じられず。
ばんえい競馬のシーンはなかなかの見せ場だけど、これを「人生は挫折と再生の繰り返し」という隠喩として描いているのがあからさまな点もちょっと垢抜けない。
しかし『嫌われ松子の一生』でも感じたことだけど、伊勢谷友介の風貌はここ数年ですっかりやさぐれてしまったもんだ。実生活でも苦労しているんだろうか?
グッドナイト&グッドラック "Good Night, and Good Luck"
    2006年 05月 28日
【KBCシネマ】
隣に座っていたのがとんでもない客だったもので、ずいぶん集中力を削がれてしまった。そんな状況もあってか、あまり楽しめなかった映画でした。いずれDVDがレンタルされれば、ぜひ再見したいと思います。

マッカーシー上院議員からの圧力はもっと苛烈なものを想像していたんだけど、映画での描写を見るかぎりは正直「この程度のものだったのか」と思ってしまった。(もちろん、当事者にしてみれば耐え難い体験だったことは判る) またCBSの上層部は基本的に主人公を擁護するスタンスを守っていたように思えたのに(ドラマ後半はちょっと腰砕け気味だったが)、なぜこれが映画の冒頭と最後に描かれた「テレビ業界大批判」のスピーチに繋がるのか?もう一つ釈然としませんでした。

あと印象に残ったのが紅一点のパトリシア・クラークソン。これまでの『ドッグヴィル』や『エイプリルの七面鳥』等では”嫌味なオバさん”という印象が強かった彼女ですが、この映画では役柄に合わせて、女優らしい艶やかさを感じさせる芝居を見せています。さすが実力派。
嫌われ松子の一生
    2006年 05月 28日
【Tジョイ久留米】
b0004063_9564812.jpg予告編を見てちょっと不安になっていた作品。
前作『下妻物語』の映像イメージを踏襲したということだろうけど、ある女性の悲惨な転落人生を”現実をデフォルメしてポップに描く”ってどんなもんだろう?違和感ありまくりでは?
しかし実際の作品を観て、そうした危惧は見事なくらい一掃されました。
もしこの話を、例えば『ミスター・グッドバーを探して』のように写実的に描いていたら、あまりに陰惨さが際立った映画になっていたでしょう。コメディタッチを交えた演出のおかげで、このストーリーに付きまとう筈の悲壮感はかなり緩和されています。その一方で、松子という女性の哀れさ、愛おしさはきちんと表現されている。お見事です。

この映画では筑後川が松子の望郷の念のシンボルとして描かれていますが、それを筑後川沿いにある映画館で観ているというのも感慨深いものでした。しかし、その筑後川でのシーンが現地ロケで撮影されなかったのは残念。中島監督自身も福岡出身なのに、そこに固執しなかったのは不思議だなあ。
あと福岡県人として嬉しかったのは、磐井屋ならぬ岩田屋デパートの屋上遊園地がCGで再現されていたところ。幼い頃、天神に行く度あそこで遊ぶのが何よりの楽しみでした。
ナイロビの蜂 "The Constant Gardener"
    2006年 05月 15日
【Tジョイ久留米】
b0004063_2025562.jpgこれまで『ブラックホーク・ダウン』、『ホテル・ルワンダ』、『ロード・オブ・ウォー』といった映画を観て、アフリカにおける最大の問題は自国民に自浄能力が欠けている点だという印象を持っていました。こんな国にどれだけ援助をしても無駄だとも。しかし今回の映画で、先進国の側も”国際援助”の美名のもとにアフリカを食い物にしているという現実もあるのだと知って、大いに衝撃を受けました。

巨大な利権が絡む新薬開発については、背後には相当エグい現実が隠されているのだろうと漠然と想像していましたが、アフリカの貧民救済という名目の裏で、実は彼らを格安な「治験者」として利用していたという事実は私の想像力を超えるものがありました。もし治験者が副作用で死亡するようなことがあっても、もともと疫病が蔓延していて死亡率が高い地域であり、誰も不審に思わず、製薬会社には何のリスクも生じない。もはや「治験」というより、事実上の「人体実験」としか言いようがありません。こんな所業にNGOが協力していたというのもショック。

レイチェル・ワイズがアカデミー助演女優賞を受賞した作品でもありますが、私にはレイフ・ファインズの演技の方がより印象的でした。もともと日和見主義的な外交官だった彼が、妻の死に国家的陰謀の臭いを嗅ぎ取ったことで、その隠された陰謀に迫ろうと立ち上がる主人公を説得力たっぷりに演じ切っていました。もちろん、そんな一般人がいきなりジェームズ・ボンドばりの大活躍をみせるような甘い映画ではありません。その結果どんな結末を迎えるのか、彼は最初から覚悟していたのでしょう。

※アフリカにおける治験問題の現状は下記のサイトが参考になります
「ナイロビの蜂」-アフリカの現状
ブロークン・フラワーズ "Broken Flowers"
    2006年 05月 09日
【Tジョイ久留米】
b0004063_20242391.jpg初老にさしかかる年齢なのに、未だ「不惑」からは程遠い未成熟な男の悲喜こもごもを描いた映画として面白く観ました。
ビル・マーレイ演じる主人公は「俺は自由人。家族なんて煩わしいだけ」というのが信条のプレイボーイ。そんな彼も「あなたの息子が19歳になります」という差出人不明の手紙を受け取ると、大いに心を揺さぶられてしまいます。彼の人生哲学に反するので認めませんが、正直「家族が欲しい。息子がいるのならぜひ会ってみたい」という思いは否定できないのでしょう。

そんな彼が「無意味だ」、「茶番だ」とブツブツ文句を言いながらも、おせっかいな隣人が作成した「昔のガールフレンド(=母親?)探訪の旅」のプランを粛々と実行していく様は実に微笑ましい。
そして最初に訪問したシャロン・ストーン(寝顔が凄かった!)こそ歓迎してくれたものの、その後の女たちには段々と加速度的に冷ややかな扱いを受けるところには、ほろ苦くもつい笑ってしまいました。

映画の結末には結構ブーイングも出ているようですが、ジャームッシュが"未だ見ぬ息子とついに出逢って抱擁、そして涙、涙.."みたいな映画を撮るはずないですよね。私は言葉とはうらはらに、「過去は忘れて今を生きる」ことなどできようもない男の悲哀さが凝縮されていて、秀抜なエンディングだと思いました。

あと素っ頓狂なエチオピアのBGMが妙に耳に残ってしまいました。
僕の大事なコレクション "Everything Is Illuminated"
    2006年 05月 07日
【ユナイテッドシネマ キャナルシティ13】
b0004063_20223128.jpgユダヤ系アメリカ人青年ジョナサン(イライジャ・ウッド)が彼のルーツを求めて、ウクライナにあるという祖父の故郷へと旅立つロードムービー。彼に同行するのは怪しげな現地人ガイドとその祖父、それと犬1匹(この犬の芝居がケッサク)。

中盤まではこの凸凹トリオ+1匹の珍道中がユーモラスに綴られていきますが、旅の目的地である故郷の村に到達すると、映画は思いもよらずシリアスなタッチへと移行していきます。この村の秘められた過去が語られるシーン(現地人ガイドの祖父の回想シーンでもある)は抽象的で、ちょっと解りにくいのですが、このミステリアスな部分も映画の魅力のひとつ。

この主人公のように、故国での迫害や苦難から逃れてきた人々を祖先に持つアメリカ人は大勢存在するのでしょう。特にそのような人には堪らない映画ではないでしょうか。そんなことを想像しました。
Vフォー・ヴェンデッタ "V For Vendetta"
    2006年 05月 04日
【Tジョイ久留米】
b0004063_20215246.jpgスタイリッシュな映像とコミックが原作とは思えない知的なムードに魅了されました。体制側を悪の独裁者として描いているとはいえ、テロリストが主人公というのも大胆なアイデアの映画です。クライマックスではビッグベンが大爆破されちゃうわけだし。アメリカでの興行成績が今ひとつだったのも(確か興収1億ドルに届いていないはず)、この点で抵抗があったんじゃないでしょうか。(コーランの扱いなんかも保守的なアメリカ人を刺激しそうだ)

全体としては荒唐無稽なお話ながら、劇映画としてのリアリティはきちんと保っているのも高ポイント。ナタリー・ポートマンが「覚醒」する場面では、これで彼女もVと同等の超人的パワーを身に着けて、終盤は大暴れするんじゃないか?と危惧したんだけど、そうならなくて良かった。

近未来のロンドンが舞台なのに、映画で描かれる市民生活はほとんど現代のままで、登場する家電製品やデル製PCも現在すでに存在するものばかり。ちょっと変な気もしますが、これはこれで正解だったかも。変に未来的な意匠を凝らしたところで、かえって陳腐でうそ臭くなってしまいそうだし。『マイノリティ・リポート』なんかそうだった。
ぼくを葬る "Time To Leave"
    2006年 05月 02日
【シャンテ シネ】
b0004063_20202866.jpgイタリア映画祭の合間をぬって、映画祭の会場から程近いシャンテ シネで上映中の『ぼくを葬る』を観てきました。ちなみにこの作品、福岡では来月公開予定。もう韓流シネマフェス、さっさと終わらせろ!他にも観たい映画が何本も後につかえてるのに。

「シャンテ シネ」のアートシアターらしからぬ?豪華さには驚き。客席はスタジアム型というか傾斜をかなりとってあり、スクリーンもデカい。まちがいなく福岡での上映館「シネテリエ天神」の倍はあると思う。福岡でいえば(ユナイテッドシネマ)キャナルシティ13の雰囲気にとても近いけど、残念ながら客のマナーの悪さもシネコン並み(笑) これはたまたまなのかも.. しかし客の中にメイドカフェの店員としか思えない格好の女の子が居たのはタマげた。東京ってやっぱり凄い..のかな。

映画の方はちょっと納得できかねる部分がある一方、心に染みる場面も少なくなく、なかなか捨て難い作品です。ジャンヌ・モロー演じる祖母との交流と、木陰から姉とその幼い息子を見守る場面は特に印象的でした。
主人公の最期は一見このうえもなく淋しいものでしたが、その瞬間、彼は至福に包まれていた..そう信じたい。
イタリア映画祭に行ってきた
    2006年 05月 02日
別件で東京へ行く用があったんですが、ついでというか、現在開催中のイタリア映画祭に初めて行って来ました。実はこのところ仕事が忙しくなったうえ、風邪で体調も崩しぎみだったので、一時は東京行きをキャンセルしようかと迷ったけど、なんとか行けてよかった。
しかし今日の東京はムチャクチャ寒かった。なんでも昨日は30度超えていたそうだけど、とても信じられない。風邪が治りかけの身には堪えました。

この映画祭、スタッフの数が多い割にどうも仕切りが悪い。指定席エリアを明示していないのもその一つ。私は観る映画2本とも指定席券を持っていたんですが、どちらも私の席に他の人が座っていました。赤の他人に「そこ私の席なんですが」と声をかけるのも、多少のストレスを感じるものです。少なくとも私の場合はそう。

で、今日観た映画は次の2本。(内容は映画祭サイトのコピペ)

『心の中の獣』 "La bestia nel cuore"
何不自由なく暮らすサビーナに、自らの妊娠に気がついた時から、子供時代の深い傷跡が蘇ってくる。主演に『向かいの窓』のジョヴァンナ・メッゾジョルノ、その夫がアレッシオ・ボーニ(『輝ける青春』の弟役)、その兄がルイジ・ロ・カーショなどイタリアを代表する俳優が揃った。メッゾジョルノがヴェネチア国際映画祭で主演女優賞を受賞し、本作品はアカデミー賞イタリア代表となった。

『私が望む人生』 "La vita che vorrei"
ピッチョーニ監督が前作『ぼくの瞳の光』で主演したルイジ・ロ・カーショとサンドラ・チェッカレッリを再び起用した新作で、緻密な恋愛劇と清冽な映像が昨年のベルリン国際映画祭やモスクワ国際映画祭で話題になった。19世紀の大恋愛物語を演じる2人の俳優に現実でも恋愛が生まれる「劇中劇」だが、ロ・カーショは既に経験豊富な俳優を、チェッカレッリは映画に初めて出演する新人を演じ、実際の2人の俳優の境遇とも重なるような巧みな構成の中に、人生と恋愛の痛みが伝わってくる秀作。

『心の中の獣』 は幼少時代のトラウマに苦悶するヒロインを描いた作品で、かなりシリアスな内容ながら、コメディリリーフ的なキャラクターを脇に配する等、適度な笑いを盛り込んでいることもあって、それ程重さは感じませんでした。ただ全体に冗長という感があり、もっとタイトにまとめられたのでは?という気が拭えません。ちょっと惜しい。
『私が望む人生』はかなり楽しめました。ただ主人公2人の関係の紆余曲折ぶりが少々クドい。彼らの関係は映画撮影の終了と同時に終焉を迎える..とした方が良かったと思います。ラストシーンでは「こんな腐れ縁、まだ続けるの?」とちょっとウンザリ。
そういえば、映画の途中で地震発生。(ニュースによれば震源地は静岡) 会場の有楽町マリオンも結構揺れて、場内にどよめきがまき起こりました。

しかしこの2本の映画、内容はまったく異なるのに、結末は不思議なくらいそっくりなんですよね。何たる偶然!