カテゴリ:DVD・TV鑑賞( 12 )
   
犯人に告ぐ
    2007年 06月 25日
WOWOW制作の劇場用映画第1弾、『犯人に告ぐ』のプレミア放映を観た。
WOWOWは、これまでに「ドラマW」の枠でなかなか粒ぞろいのオリジナルドラマを制作してきた実績があるので、満を持して世に送り出す劇場用新作には平均以上のクオリティを期待していた。
しかしオンエアを見た感想は、正直言って期待はずれ。
劇場型犯罪を題材にした作品だが、いろんな既存の映画からアイデアを拝借して一本にまとめたような印象で、ストーリーにオリジナリティが感じられないし、何より登場人物たちの造形が類型的で薄っぺらなのだ。これではせっかくの豪華キャストが泣く。例えば、トウがたってきた美人キャスターを演じる片岡礼子も、視聴率欲しさに浅はかな画策を弄するばかりで、演技の見せ場がまったく用意されていない。彼女は数々の女優賞に輝いた『ハッシュ!』以後、まったく役に恵まれていない。本当に残念。

劇場公開前の新作といえば、先日も、NHKのBSハイビジョンで放映された『殯の森』を観た。(カンヌ映画祭で受賞した直後の新作が劇場公開前にオンエアされるとは、どういう事情か知らないが、相当異例なことだ) この作品も、グランプリ受賞というほどの作品とは思えなかったが、撮影はすばらしかったし、痴呆老人と介護ヘルパーだけの2人芝居が延々と続く映画なので、テレビだと辛いが、劇場で観ればだいぶ印象が違うかも?ぐらいのことは感じた。しかし、この『犯人に告ぐ』の場合、ちょっと他人に劇場鑑賞はお勧めできない。
対岸の彼女
    2006年 01月 16日
※WOWOW(ドラマW)にて放映
b0004063_0151.jpg『空中庭園』の映画化が記憶に新しい角田光代の直木賞受賞作を『愛を乞うひと』の平山秀幸監督が映像化。現在と過去、2組の女性の友情を描いた作品です。

なかなか印象に残る出来栄えでした。
このドラマがユニークなのは現在のシーン(というより作品全体)の主役は夏川結衣なんだけど、20年前の物語のそれは相手役の財前直美だというところ。もっとも私がそれに気づいたのはドラマ後半になってから。それまで、てっきり20年前の話は夏川結衣の回想シーンだと思ってました。
私の勘が鈍いのもあるけど、これは演出側が意図的にミスリーディングしているんだと思う。外見にしても、対人恐怖症ぎみという性格にしても、20年前の財前直美(演じるのは石田未来)と現在の夏川結衣とはどう見てもそっくりだもんなあ。

女性同士の友情物語というと、異性絡みで揺れたり破綻したりというパターンがありがちですが、この作品はそんな定石を踏むことなしに、大きな隔たりがある二人(=「対岸の彼女」)の人間関係の移ろいを真摯に描いていて、男性から見ても共感できるドラマに仕上がっています。
役者では夏川結衣と財前直美はどちらも良かったけど、20年前の親友を演じた多部未華子が一番光ってました。彼女は昨年、湯布院映画祭で観た『ルート225』
(3月に劇場公開予定)でも好演してたし、個人的にも注目株です。

WOWOW ONLINE:「対岸の彼女」
オープン・ウォーター "Open Water"
    2005年 06月 25日
【シネリーブル博多駅】
b0004063_225328.jpg僕はもともと海に入ると反射的に「ジョーズ」のテーマ曲が脳内に鳴り始める体質?なので、この映画はシャレにならないくらい怖かった。
俳優の安全確保が十分だったのかも疑わしい、アイデア勝負の低予算映画ですが、この映画が描いている恐怖は凡百のホラー映画とは一線を画したリアルさを感じさせます。
特に絶望的な状況の中で少しずつ人間が壊れていく過程をこれだけリアルに描き出したのは凄い。この作り手の想像力は大したものだと思わずにいられません。

劇中、ダイブを楽しんだ客が「ああ、まさしく楽園だったな」と言う台詞がありますが、そのさっきまで楽園だった場所が今では地獄と化している..この怖さ。ああ、やっぱり海って恐ろしいところなんですね。

オープン・ウォーター@映画生活
ミリオンダラー・ベイビー "Million Dollar Baby"
    2005年 05月 31日
【T・ジョイ久留米】
b0004063_2175125.jpgモーガン・フリーマンが良い!彼の語りで映画は進行していきますが(これが単なるナレーションでないことがラストでわかる)、その語り口や彼の飄々とした佇まいが重いテーマを背負ったこの映画に何とも言えない温かみを与えてくれます。あの「ショーシャンクの空に」を連想しますね。

このドラマの根底に流れているテーマは「法で解決できない問題を宗教は救えるか?」ということじゃないでしょうか。思えば、この点はイーストウッド監督の前作「ミスティック・リバー」と共通している気がします。「ミスティック・リバー」は何だか釈然としない作品だったんですが、今回「ミリオンダラー・ベイビー」を観たことで、少し理解がいった気がしました。

ミリオンダラー・ベイビー@映画生活
ボーン・スプレマシー "The Bourne Supremacy"
    2005年 02月 15日
【T-Joy久留米】

b0004063_21421120.jpg予告編でネタばれされているように、映画の冒頭でボーンは恋人マリーを殺害されてしまい、そしてこの事件をきっかけに、彼は2年間の雌伏を経てCIAへ反撃を開始することになります。
当然、彼の目的はマリーの復讐...と観客であるこちらは考えるわけですが、実はこれは脚本の巧みなミスリード。映画の後半でボーンの真の目的が次第に明らかになってゆきます。

そもそも、なぜ凄腕スパイであるボーンがミッション遂行を失敗し記憶喪失に陥ったかというと、実は暗殺標的のそばに幼い子どもがいたために殺害を躊躇してしまい、その隙に反撃を喰らってしまった..らしいということが前作で明らかにされていました。が、この設定にはどうも納得がいかなかった。常人ならともかく、“米国政府が3000万ドルかけて育成した人間兵器”がそんな人間的な感情に流されてしまうものなのか?第一、標的の傍に家族がいるかもしれないことなど最初から予測範囲だったろうに.. しかし今回、ボーンの真の目的が明らかにされる過程で、この前作から引きずっていた疑問にも映画は説得力ある回答を示してくれました。
今回のPART2のストーリーは原作を離れて、ほとんどオリジナルに近いらしいですが、この作劇の巧みさには心を奪われました。

ラストでニューヨークの雑踏を颯爽と歩き去ってゆくボーン。その直前の「懺悔」のシーンでモスクワの雪道を悲壮感たっぷりにトボトボと歩いていたのと対照的ですが、明らかに演出上の計算なのでしょう。そして前作に続いてエンドクレジットに流れるMODYの"Extreme Ways"が何とも最高!曲を変えないでくれて、個人的に本当に嬉しかった。
この結末を見るかぎり、次回はストーリー展開にも新機軸が期待できそうで、こうなるとPART3の公開が待ちきれませんね。願わくば、ぜひ次回はアメリカと同時公開して欲しいもの。今回のような、日本公開より先に韓国でDVDリリース(しかも日本語字幕・音声が選択可)などという愚は繰り返さないように。
最近観たBS・CS放映作品
    2005年 02月 11日
b0004063_2132189.jpg今月はあまり観たい映画が劇場にかかりません。今のところ、鑑賞予定に入れているのは「ボーン・スプレマシー」と「ライフ・オブ・コメディ」ぐらい。来月になると期待作が目白押しなんですけどね。
そんなわけで穴埋めというわけでもないんですが、最近WOWOWやスカパーでチェックした作品の寸評など載せてみました。

「バウンス koGALS」
これは女子高生版「アメリカン・グラフィティ」ですね。東京の街で出会った少女たちの1日を描いた作品で、ラストシーンはそれなりに情感が出ていて悪くないです。
一見無軌道で生意気なコギャル(死語?)たちですが、内面は素直で思いやりもある娘たちなんですよ..というのが作者の主張みたいです。しかし実際のところはどうなんでしょう?役所広司演じる妙にカッコいいインテリヤクザの描き方も含めて、この映画、ある種のファンタジーだと私には思えるのですが。

「クイール」
私は原作も読んでないし評判になったらしいTVドラマも未見ですが、この映画は良かったです。あざとく泣かせるのではない抑制された演出も好ましいし、小林薫をはじめ香川照之、寺島しのぶといった、決して派手さは無いけれど力のある役者を集めている点でも成功していると思います。あと小林薫の娘を演じてるのは「ごめん」の子役なんですね。
しかしネット上のユーザーレビューをチェックすると、この映画もっぱら不評みたいです。TVドラマ版と比較して「ストーリー展開が駆け足..」、「あのエピソードが描かれていない」といった意見が多数を占めていますが、正直言って、それって無いものねだりでは?

「みんなのいえ」
全体として予定調和的なコメディですが、破綻もなく最後まで安心して観られる出来ではあります。田中邦衛の役はちょっと狙いすぎという感が否めないし、あちこちにフジテレビ絡みのタレントがカメオ出演してるのも個人的には目障りでした。反対に女子アナ出身の八木亜希子は意外に自然な演技で、思わぬ拾い物という感じでした。

「犬と歩けば チロリとタムラ」
「クイール」は盲導犬のお話でしたが、こちらはセラピー犬”タムラ”(何と福岡で拾われたんだと)が主人公。劇映画としては凡庸な気がしますが、セラピー犬についての啓蒙映画(実際に普及協会が製作に関わっているようです)と見ればよく出来ていると言えるでしょう。老人の患者が描き遺したタムラのイラストには泣けました。この老人を演じたベテランの俳優さんはこの映画が遺作になったそうです。
死ぬまでにしたい10のこと
    2004年 10月 31日
WOWOWにて放映

b0004063_161033.jpg良い意味で言うのだが、この映画は”大人向けのおとぎ話”だ。
私の勤め先はホスピスがある病院で、その関係で終末期医療について多少の知識は持っている。そんな私から見て、この映画のストーリーは現実的とはいえない。末期がんの患者が定期的に鎮痛剤を処方してもらうだけで苦痛を抑えることはできないし、現実にはあっという間に衰弱してしまって、映画のように最後まで家族に病気を隠しとおすことは不可能だろう。
この映画は非現実的なドラマではあるが、同時に人生の真実を描くことには成功している。その意味で「おとぎ話」だという印象を受けるのだ。
ヒロインの行動(特に不倫の関して)には観客の間でも賛否が分かれているようだが、私はこの映画のメッセージは真摯なものであると思う。
踊るマハラジャ★NYへ行く
    2004年 10月 27日
WOWOWにて放映

b0004063_21571779.jpg出演: ヘザー・グラハム 、マリサ・トメイ 、ジミ・ミストリー
インドでダンスのインストラクターをする青年ラムー。ジョン・トラボルタの「グリース」に憧れている彼は、将来アメリカで成功することを夢見て、ある日ついにニューヨークへ。しかし、ラムーの思うようには事が運ばず、ひょんなことからポルノ映画へ出演するハメに。だが、共演者のセクシー美女シャローナとの出会いが彼の運命の転機となる..

先日NHK-BSの番組で見たのだが、今ニューヨークでは「ボリウッド映画」のダンスが密かなブームだそうで、インド系女性が教えるダンス教室は大盛況だった。
この映画にもダンスシーンは登場するが何だか中途半端。(それでもヘザー・グラハムが踊るシーンはなかなかの見もの)こんなありきたりのラブコメではなく、もっとボリウッド・ダンス満載のミュージカルにした方がウケたんじゃないだろうか?
ドラッグストア・ガール
    2004年 10月 26日
DVD鑑賞

b0004063_21434085.jpg冒頭のシーンだけは笑えたが、これはちょっと..いやかなりガッカリな作品だ。
その冒頭シーンをはじめ、まるでキーワードみたいに「理数系の女」という台詞が連呼されるにもかかわらず、田中麗奈演じるヒロインはこの映画でも毎度のごとく「体育会系少女」であって、(薬科大の学生という設定を除いて)いかにも”理数系”と思わせるような描写は皆無。この辺からしてピントがずれている。

観客を笑わせたいのか、それとも感動させたいのか、演出がどちらに力点を置いているのかも曖昧なんだが、どちらにしても一番肝心なのは、柄本明ほかの中高年オヤジたちに一生懸命ラクロスをプレーさせることだろう。しかし映画の中のオヤジどもはヘラヘラと道化役に終始するばかり..で最後は「少林サッカー」もどきのCGでお茶を濁してお終い。
特典映像として収録されたインタビューの中で、監督は「中高年の人たちにエールを送りたかった」と語っているが、これを観て力づけられる中高年などいるんだろうか?
House of Sand and Fog
    2004年 09月 01日
DVD(輸入版)鑑賞

b0004063_2346175.jpg以前書いたように、日本公開を待ち続けているのにさっぱりその気配が無いので、ついにAMAZON.COMで輸入版DVDを購入してしまった。

イランから妻子を連れてアメリカへ移住してきた元軍人のベラーニ (ベン・キングズレー)は、市によって差し押さえられた一軒家を競売によって破格の金額で購入することに成功する。しかし実はその家は行政の手違いによって押収されたものであった。元の住人であるキャシー(ジェニファー・コネリー)は、父が遺してくれた家を何とか取り戻そうと懸命になるが、経済的に逼迫しているベラーニは、自分が購入した額ではなく、その何倍もの市場価格を支払わないかぎり家は空け渡さないと主張する。一方、キャシーに好意を持つ保安官のレスターは次第に職務を逸脱してゆき、ついにはベラーニ一家に対して脅迫的行為に出るのだった..

一言..暗い映画だ。映画の冒頭でいきなり、この物語は悲惨な結末を迎えることが示される。物語の途中でキャシーとベラーニは和解し、一旦は望ましい解決に向かうかのように思われるのだが、こちらは最初から結末を知らされているので、結局、最初から最後までずっと暗澹たる気分で映画を観続けることになる。
何を好んでこんな暗い映画を観ないといけないんだ?とも思うが、登場人物は皆良識を持った市民であるはずなのに、ちょっとしたボタンの掛け違えから、加速度的に事態が悪化していく怖さは非常にうまく描かれていて、人間ドラマとして十分見応えがある。アンハッピーエンドもハリウッドのメジャー作品と差別化するうえでは、意外と集客の点でも有効なのかもしれない。

演技陣は皆素晴らしい。今年のオスカーで主演男優賞にノミネートされたベン・キングズレー(しかし「ガンジー」をはじめ、いろんな人種を巧みに演じる人だ)は言うに及ばず、対するジェニファー・コネリーの演技もこれまでのベストではないだろうか。少なくとも、オスカー受賞の「ビューティフル・マインド」の時と比較してもずっと巧い。

しかし日本での劇場公開はいつになるのだろう?ひょっとしてビデオスルーかな?

※追記 ..と書いたとたん、11月に「砂と霧の家」の邦題で劇場公開が決定してしまった。
     DVDを輸入すると日本公開が決まる、というジンクスはやっぱり生きていた(笑)