サイドカーに犬
    2007年 06月 20日
【NTT夢天神ホール】 ※試写会

根岸吉太郎監督の前作『雪に願うこと』を世評ほど良いと思わなかった私だったが、この『サイドカーに犬』は予告編でなぜか心引かれるものを感じて、いそいそと試写会に出かけた。
上映前の舞台挨拶では、根岸監督と主演の竹内結子、それに主題曲を唄っているYUIの3人が登壇。YUIはかってこの天神で路上ライブを演っていたそうだが、壇上の彼女は、自分に話が向けられているとき以外、直立不動の姿勢でじっとしているのが可笑しかった。根岸監督は彼女の生真面目そうな風情から、「映画に登場する小学生だった薫の10年後の姿」を連想したそうだ。なるほど、よくわかる。
一方の竹内結子はといえば、映画で演じたヨーコばりのユニークなトークが楽しかった。意外に今回の役は、これまででいちばん素の彼女に近いのかもしれない。

映画は、ある内気な少女、薫が自由奔放で型破りな女性と出逢い、共に過ごした夏休みの出来事を描いた作品。爽やかな印象が際立つ佳作だ。
薫は自分とは対照的なヨーコにたちまち魅了される。もしこれがハリウッド映画であれば、薫はヨーコに感化され、たちまち外交的な性格に変身したりするのだろうが、もちろん、この映画ではそうならない。20年後の現在、30歳のOLになった薫はやっぱり地味な性格のままだ。ずいぶん久しぶりに会う弟からも「ガキの頃からぜんぜん変わってないな」とからかわれる。
しかし映画の最後で、薫がヨーコから影響を受けていたものが1つだけあることが明かされる。この幕切れは鮮やかだった。「1つだけ」と言ったが、薫が独りで釣堀で佇んでいるあたりの風情も、ヨーコからの影響を何となく感じさせる。
決してその出逢いで人生が変わったわけではないが、その鮮烈な印象の痕跡はいつまでも残り続ける..これだけ説得力を感じる映画は久しぶりかも。

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by coolkoro | 2007-06-20 21:41 | 劇場鑑賞