バベル "Babel"
    2007年 04月 30日
【T-ジョイ久留米】

昨年のカンヌ映画祭で話題を呼んでから早や一年。ずいぶん公開まで待たされただけ期待も大きかったのだが、正直、やや期待はずれ。
複数のエピソードが同時進行してゆき、それぞれの登場人物たちが実はある絆で繋がっていたことが段々とわかってくるという展開は、同じ監督の前2作と共通するものだが、今回は舞台が国際的にスケールアップしたぶん、物語に生々しさが消失してしまった気がしてならない。

私が一番気になったのは、役所広司と菊地凛子が登場する日本のエピソードが、他のモロッコ、メキシコのそれと比べて突出してわかり難い点だ。菊地凛子の体当たり演技の迫力で、まあ最後まで飽ききずに観られるが、やはり釈然としないものが残る。

映画では役所と菊地が演じる人物の背景はほとんど説明されない。なぜ2人の関係がギクシャクしているのか?役所の妻が死んだ理由は何なのか?(背景が描かれないのは、ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットのエピソードも同じ) それはいいと思う。しかし、現在進行形のドラマについては然るべき説明があってよかったのではないか。例えば菊池が刑事に渡した手紙。彼女は一体いつあの手紙を書いたのだろう? 刑事が彼女のマンションを訪ねている間だと考えるのが自然だが、映画の描写からすると、そんな時間があったとは思えない。それとも2人の間には映画に描かれなかった事実がいろいろあったのだろうか? そもそも手紙には何が書いてあったのか? これは物語の重要な鍵だと思うのだが、それが明らかにされないまま迎えるラストシーンは、予定調和的なハッピーエンドという印象でしかなかった。 

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by coolkoro | 2007-04-30 22:35 | 劇場鑑賞