父親たちの星条旗 "Flags of Our Fathers"
    2006年 10月 30日
【ユナイテッドシネマ キャナルシティ13】
 太平洋戦争末期の1945年2月、硫黄島では日米両軍による死闘が繰り広げられていた。最終的に物量に勝るアメリカ軍の猛攻により硫黄島は陥落したが、その際に撮影された「摺鉢山に星条旗を掲げる兵士たち」の写真は大反響を呼び、厭戦気分が広がりつつあったアメリカ国民の戦意高揚のため利用されることになった。そして、写真にたまたま写された3人の兵士たちは帰国を命じられ、国家の英雄として熱狂的に迎えられるのだが..

 冒頭の「戦争を知らない人間ほど、戦争について語りたがる」の台詞が心を離れない。この言葉に象徴されるように、人々を欺く戦争プロパガンダの汚さを痛烈に批判した映画だ。このテーマは現在のブッシュ政権にも通じるものだろう。「悲惨な戦場」と、そんな実情は知らず「戦勝気分に浮かれる国内」という構図も現在と同じ。となると、映画のアメリカでの反響が気になるところだが、おそらく保守派を中心にかなりの反発を食うのではないか。実際にアメリカのヤフーでユーザーレビューを覗いてみたところ、はたして「AかFか」といった感じで評価が極端に分かれている。いずれにしても、このような微妙なテーマを取り上げて、映画を完成させたイーストウッド監督の勇気には賞賛を贈りたい。

 反戦映画というと、安っぽいセンチメンタリズムに陥ったり、感情的に戦争反対を叫んだりというパターンが少なくないが、この『父親たちの星条旗』はその様な作品とは一線を画した、イーストウッドの終始クールな演出ぶりが光る映画だ。凄まじい戦場描写の印象も相当に強烈なのだが、本来の主題である「政治の具として翻弄された兵士たちの悲哀」は、観終った後も深い余韻となって静かに残り続ける。

父親たちの星条旗@映画生活

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by coolkoro | 2006-10-30 20:25 | 劇場鑑賞