地下鉄(メトロ)に乗って
    2006年 10月 27日
【ユナイテッドシネマ福岡】
 絶縁状態だった父親が危篤だという知らせを受けたある日のこと、衣料品会社の営業マン 長谷部真次は、いつものように地下鉄で移動中、突然、亡き兄の姿を目撃する。兄の背中を追って駅を抜けると、何とそこはオリンピックに沸く昭和39年の東京だった。やがて無事に現在へ戻ってこられた長谷川だったが、今度は恋人のみち子も一緒に昭和21年の東京に紛れ込んでしまう。そこで彼が出逢ったのは、終戦直後の混乱の中、したたかに生きる若き日の父だった..

 『はつ恋』、『昭和歌謡大全集』、『深呼吸の必要』、『欲望』..と好きな作品が多い篠原哲雄監督の新作なので、大いに楽しみしていたのだが、正直、今回は期待はずれ。

 親子の確執と和解をテーマにした映画は少なくないが、こんな安直なお話は今までお目にかかったことがない。普通は親子の少なくとも一方が歩み寄り、相手を理解しようと努力するもので、そんな姿に観客は感情移入し、また共感するのではないか。しかしこの映画の場合、息子は自分の意思とまったく関係なく、何度もタイムスリップを繰り返し、ご都合よく、今まで知らなかった父親の人生のハイライトシーンを目撃することになるのだ。いったい誰がこんな現象を起こしているのか?どこかに、ドラえもんでも隠れているのだろうか。ついそんなバカなことを想像して、私はすっかりしらけてしまった。

 論理的でない映画、理屈に合わない映画はぜんぶダメだと言っているのではない。しかし、このような「不思議なお話」を成立させるには、そんな「不思議なこと」が起こっても「不思議ではない」と思わせるだけの雰囲気を醸成させておくことが肝心だと思う。この点、この映画はまったく手抜かりだ。

 主人公の愛人役である岡本綾が絡むエピソードにしても、あれで感動する人もいるのかもしれないが、私には何とも倒錯的で、後味の悪さが残るものでしかなかった。

地下鉄(メトロ)に乗って@映画生活

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by coolkoro | 2006-10-27 22:11 | 劇場鑑賞