フラガール
    2006年 09月 28日
【Tジョイ久留米】
 昭和40年、エネルギーの需要は石炭から石油へシフトしつつあり、福島県の常磐炭鉱も閉山の危機に陥っていた。そこで炭鉱会社は町の活性化のため、地元の温泉を活かしたレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」の設立を提案する。センターの目玉となるのはフラダンスのショー。早速、名門の松竹歌劇団にいたダンサー、平山まどかを東京から招き、地元の素人娘たちを相手にダンス特訓を始めるのだが..

 李相日監督といえば、『69 sixty nine』や『スクラップ・ヘブン』で「ケレン味たっぷりの映画を撮る人」という印象が強かったので、今回のような人情劇にはどうなのかな?と思ったが、オーソドックスながら、ツボを押さえたなかなかの感動作に仕上がっている。
 
 あえて難を言うなら、あまりに多くのエピソードを詰め込みすぎた点。例えば、ダンス教師が抱える借金問題のくだり等は不要な「脚色」だったのではないか。そのせいで、「果たして僅かな期間で、素人娘たちはプロのダンサーになれるのだろうか?」という本来のテーマが希薄になってしまった気がする。誰もが言うように、クライマックスのステージは素晴らしい見せ場なのだが、そこまでの繋ぎにもう一工夫欲しかった。

 しかし、このステージでの蒼井優は何とも艶かしく、途中までの泥臭い田舎娘の顔とは対照的で見事だ。彼女のデビュー作「リリィ・シュシュのすべて」の舞台挨拶で本人を見たことがあるが、その時の印象が悪かったこともあって、この売れっ娘の魅力が今まで解らなかったが、今回の映画で見直した。

 またダンス教師に扮する松雪泰子も素晴らしい。中でも、映画の冒頭で見せるダンスシーンは圧巻だった。ここを編集でごまかすのではなく、彼女が本物のダンスを踊って見せたことで、映画の説得力はずいぶん増したはずだ。もうそれほど若くない女性のくたびれた素顔を垣間見せているのもいい。これまで演技面で定評があるわけでもなかった彼女がこれだけの芝居を見せるとは、日本の女優陣もかなり層が厚くなったと言えるだろう。

フラガール@映画生活

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by coolkoro | 2006-09-28 20:07 | 劇場鑑賞
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