紙屋悦子の青春
    2006年 09月 09日
【KBCシネマ】
原田知世、永瀬正敏の舞台挨拶がある初回の上映を観た。
劇場に着いた時はすでに開場後だったので、完売になっていないか心配だったのだが、意外にもまだ空席が結構あって助かった。上映直前にはさすがに満員になり、補助イスも出されていた。
これも意外なことに、先行上映されている東京などでは客の年齢層が相当高いと聞いていたのだが、ここではむしろ30代以下と思しき若い観客の姿の方が目立っていた。もっとも、これは舞台挨拶の効果であって、今後の上映では状況が変わるのかもしれないが。

映画はすばらしい出来だった。
この映画で描かれる戦争の影とは「乏しくなっていく食料」とか「帰りが遅い家族に対する不安感」といったもので、戦闘や空襲の流血シーンなどはまったく無いし、声高に「戦争反対」を叫ぶ映画でもないけれど、凡百の反戦映画などよりずっと、戦争の悲惨さを皮膚感覚に訴えかけてくる作品に仕上がっている。
役者も皆頑張っているが、どちらかといえば、主演の原田、永瀬よりも、脇を固める本上まなみ、小林薫、松岡俊介の芝居の方がより印象に残った。

b0004063_22591255.jpgとりわけ、本上まなみは凄く光っていた。彼女はこの映画のコメディリリーフ的な存在で、題材が題材だけに重く沈みがちな作品の雰囲気を彼女はずいぶんと救っていたように思う。実際、この映画のコミカルなシーン(場内が笑いで包まれる場面も結構ある)の多くは彼女が絡んでいる。また彼女は自分の思いを毅然と表明できる女性でもあり、原田が演じるヒロインとは対照的な役柄である。観客の気持ちを代弁してくれるキャラクターだと言ってもよい。特攻隊として沖縄に赴く松岡に対して、形式的な挨拶だけで別れようとする原田に「(本当の気持を伝えるために)行ってこんね!もう会うこともないんですよ」と諭す場面など、すべての観客は彼女への共感を禁じえないだろう。

ただ難点をあげるなら、老夫婦となった原田と永瀬が登場する現代のシーン。2人の禅問答のような会話が延々と続くのだが、これには正直退屈した。少なくとも、ここは少し短縮すべきではなかったか。「戦争で死んでいった人々の犠牲のうえに、現代の平和が築かれているのだ」という想いが、このシーンには込められていることは解るのだが。

上映後、舞台挨拶に登場した原田はロングヘアに黒のドレス、永瀬の方は何とポニーテール!といういでたちで、映画で演じた2人の姿とはあまりにギャップが大きかった..

紙屋悦子の青春@映画生活
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by coolkoro | 2006-09-09 20:53 | 劇場鑑賞