ヴェラ・ドレイク "Vera Drake"
    2005年 07月 24日
【シネテリエ天神】
b0004063_2056368.jpg毎度ながら、マイク・リーの映画からは生活感漂う..というより生活臭が強烈に発散されてますよね。

どのようなきっかけで、主人公ヴェラは当時重罪とされていた堕胎に手を染めるようになったのか?映画では明確な説明はありませんが、恐らくはヴェラ自身があの原始的な処置による堕胎を経験していたのでしょう。
「自分はあれで助かったから、他の娘たちも救われるはずだ」、「自分は無事だったから、あの方法は安全に違いない」、「だから法律に反するとはいえ、大事にはならないだろう」 彼女はそんな風に考えたんだと思います。

あえて言えば、彼女は愚かな人間です。単に無学ということもあるでしょうが、あまりに善人であるが故に愚かなのだと言ってもいい。
堕胎についての善悪は別として、彼女の行為はやはり許されるべきではない、と私は思います。まったくの善意による行為だったとはいえ、それが多くの意味でどれだけ危険なことなのか、どうして彼女は解らなかったのか?
劇中、ヴェラの夫が息子から「父さんは怒ってないのか?」と聞かれて、即座に「もちろん怒っているさ!」と答えますが、彼の胸中は察するに余りあります。

しかしそんな葛藤を経ながら、家族たちは彼女を赦し支えていこうと決意します。だから私はこの映画の結末をアンハッピーだとは感じなかった。
もしこれがハリウッド映画だったら、数年後に出所してきたヴェラを家族全員が涙涙で抱擁し出迎える..みたいなラストになっていたと思います。この映画はそこまで描いていませんが、そのような救いがある未来を十分に予感させてくれました。
by coolkoro | 2005-07-24 20:56 | 劇場鑑賞