カナリア
    2005年 03月 14日
【シネリーブル博多駅】
b0004063_21144626.jpg「害虫」「黄泉がえり」の塩田明彦監督が、オウム真理教事件をモチーフに描いた意欲作。テーマがテーマだけに、前作「黄泉がえり」の大ヒットがあればこそ実現した企画でしょう。

この映画で一番に印象に残ったのは、主人公である2人の少年少女を演じる石田法嗣、谷村美月が本当に素晴らしかったこと。2人とも目に力があるんですよね。もし彼らの役をアイドル然とした子役が演じていたら、映画のリアリティは大きく損なわれていたことでしょう。
まったく笑うことがなかった2人が、東京で再会した元信者たちとの交流の中で、次第に子どもらしい笑顔を取り戻していく場面は心動かされます。「どこまでもいこう」でも子どもたちの姿を実に自然に捉えていた塩田監督の手腕が発揮された名シーンです。

劇中、回想シーンとして教団施設での出来事がかなりの時間を割いて描かれますが、私はこれは要らなかったと思う。もっと光一と由希の旅に焦点を絞った方がメッセージも明確になり、解りやすい映画になったはず。カルト教団の実態を直接的に描いたことで話は拡がりましたが、その分収拾しきれず、未消化な部分が残ってしまった感は否めません。

もっとも今回、監督に解りやすい映画を作ろうという意図は毛頭無かったような気がします
映画の最後では思わず唖然とするようなギミックが用意されています。普通なら感動的なエンディングに導けそうな展開なのに、敢えてそうしないのも確信犯だと思います。
観客を泣かせて綺麗に終わるのではなく、観客の心に波紋を投げかける結末を選択したということでしょうか。

カナリア@映画生活
by coolkoro | 2005-03-14 21:15 | 劇場鑑賞