レイクサイド・マーダーケース
    2005年 01月 24日
Tジョイ久留米

b0004063_9321886.jpgこの映画には「親子の関係」や「お受験」に象徴される現代社会の問題に対する言及が含まれていますが、そうした社会派ドラマとしての描写はどうにも中途半端で説得力が弱いと感じました。柄本明が役所広司に「何がどうだろうと親は自分の子どもを守るものなんだ!」と詰め寄る場面など、本来もっと感情を揺さぶるシーンに仕上がっているはずなんですが..

殺人ミステリーとしての出来は悪くなく、なかなか楽しめました。全編を通して、何とも知れない恐怖・不安感を強烈に印象づけられる作品です。ではこの映画が描く恐怖とは何かというと、それは「未来への恐怖・不安」ではないでしょうか。
お受験の問題は”少しでも確実な将来が欲しい”という大勢の欲求から来ているものだし、薬師丸ひろ子が見る未来のビジョンはどれも不吉なものばかりです。映画の最後で役所と薬師丸は夫婦の絆を取り戻すことになりますが、あの思わずギョっとするラストのショットは、今回の事件が役所たちのこの先の人生に暗い影を落とし続けることを暗示しているのでしょう。

タイトルになっている湖畔のロケが効果をあげています。美しくもどこか不気味に佇んでいる湖の光景は、登場人物たちが感じている恐怖の象徴といえるかもしれません。
青山監督は「ユリイカ」でも、遠くに連なる山々の光景を(津波に見立てて)”不安感”の隠喩として使っていましたね。(冒頭で宮崎あおいが「大津波がやってきて、いつか皆いなくなる」とつぶやきます。実はあの映画の前半部は私の自宅近辺でロケされていて、あの山々も部屋の窓から望むことができます) 自然の実景を物語に取り込んで、雰囲気を盛り上げるのに長けた監督だと見受けました。

レイクサイド マーダーケース@映画生活
by coolkoro | 2005-01-24 09:30 | 劇場鑑賞